ブッデンブローク家の人びと ★★★☆☆  著:トーマス・マン 訳:望月 市恵

story
ブッデンブローク家の様々な人の人生を綴った長編。祖父の代に始まって、孫、その他周辺の人物までの長い話です。副題は「ある家族の没落」・・・。

感想

トーマス・マンと言えば「魔の山」しか思いつかず、読んでみたいな〜と思っていたので図書館に借りに行くと、上下巻揃っていない。しかたなく借りてみたのがこの本。文庫で上・中・下巻の読み応えのある物でした。
人物の心情や価値観、時代背景、芸術や自然の景色に渡るまでとても細やかで美しく描写されていて、かなり惹き込まれました。貴族趣味に没頭する娘、対極的な兄弟、神経の細い少年と友情・・・。テーマも様々ですがどれも素晴らしく徹底した書き分けです。それにしても、金持ちってなんでいつも病弱で神経薄弱なんでしょう〜?(苦笑)
あと料理とか食文化も凄く丁寧に書かれてて面白かったです。


ボーン・コレクター ★★★☆☆  著:ジェファリー・ディーヴァー 訳:池田 真紀子

story
四肢麻痺患者の天才犯罪学者が科学捜査で解き進めるミステリー・サスペンス。

感想

またまた科学モノ。特に選んでるつもりはないんだけど、この手の小説が多いのかな。タイトルになんとなく見覚えがあったので、もしかして過去に読んだ本かな・・・と心配したけど多分初めて。
謎を解くライムは障害者で自由に動くことが出来ず、代わりにヒロインのサックスが現場でガンガン動くので、細かい科学捜査をじりじりやってる割には(最後は結構大変だったけど・・・)、ハードボイルドで展開も早い。やっぱり外国(特にアメリカ)のミステリーモノは絶対にどこかハードボイルドなんだよ・・・仕方がないけど。
とにかく科学捜査の細かさが面白かったです。想像力にも繋がる知識って大事ですね。


天使と悪魔 ★★★★☆  著:ダン・ブラウン 訳:越前 敏弥

story
大都市大爆発まで○時間?秘密結社の復活?予告連続殺人?意外とハードボイルドな(?)リリジョン&サイエンス・ミステリー。

感想

簡単な(?)タイトルだから何気なく読み始めたら、かなり面白くて上下巻一気に読めた。ぼくの好きなテーマである科学と宗教。その中でも特に好きな、史実(や事実)に基づいたフィクションの形態。
上巻を読み終えるまで気付かなかったけど、この著者はあの「ダ・ヴィンチ コード」を書いた人だったんだ・・・それも早く読みたいのに、なかなか図書館に来ない!!!
上下巻で結構時間的に細かい記述の割には、ちょっと都合良く展開が早い気もしますが、かといって遅いとイライラするしちょうどいいのかな。
科学だ信仰だ裏切りだとシビアなストーリーの、最後の最後にラブロマンスで終わるのが皮肉ってるってゆうか、アメリカっぽいってゆうか。


“It”と呼ばれた子 ★★★☆☆  著:デイヴ・ペルザー 訳:田栗 美奈子

story
母親からの壮絶な虐待の記録を子供からの視点で綴ったノンフィクション作品。 『ロストボーイ』『DAVE』のシリーズ3作

感想

前から読んでみたくて、ようやく読んだ。
1冊目はホント泣きっぱなしでした。本読んでこんなに泣いたのは久しぶりだ。
客観的に見る虐待と主観で見るそれとはかなり違うってことがわかりました。どんな親でも、子供はやっぱり親が居ないと生きていけないし、親を求めるものなのかなぁ。親から子への愛よりも、子供から親への愛の方が必死なのかもしれない。特に幼少期は・・・。
3冊とも涙無くしては読めません。


ひまわりの森 ★★★☆☆  著:トリィ・ヘイデン 訳:柴田都志子

story
ノンフィクション「仔」シリーズで有名なヘイデンの、フィクション作品。 普通のはずだった家族、しかし母は過去に囚われ続け・・・

感想

ヘイデンは大抵読んでます。フィクション作品も何作か読んだような気がします。
ヘイデンらしい、細かな心理描写で、一人称で書かれているけれど、相手の心理まで含んだ描写が出来るのはやはり彼女ならでは。どうしても擦れ違う価値観や愛情に、ぼくまで揺れ動かされそうになってしまいます。
でもドイツ文学は好きですが、戦争は苦手なテーマです。怖くて。
ウェールズの描写が素晴らしく、ぼくも行こうと思いました。


午後四時の男 ★★☆☆☆  著:アメリー・ノートン 訳:柴田都志子

story
理想の田舎暮らしを求めて引っ越してきた老夫婦の「家」。幸福な生活を送るはずが、奇妙な隣人の行動のせいで思わぬ展開に・・・。

感想

フランス文学が読みたいな〜と思い、単純にタイトルが気に入ったので読んでみました。タイトル通りの話でした。 不条理にも思われる隣人の行動に徐々に影響されてゆく主人公の心情や行動が、意外だったり共感したりで面白いです。外国文学のあのありがちな大袈裟さがいいです。ハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのかはわかりません・・・。全体的に憂鬱で虚ろな感じがします。でも暗くはない。


春にして君を離れ ★★★☆☆  著:アガサ・クリスティ 訳:中村妙子

story
理想の生き方をしてきたはずのジョーンは、砂漠の果てで本当の自分を見つける・・・。本格ミステリ作家として名高いクリスティの、ミステリ以外の作品です。

感想

ぼくは大のクリスティファンなので、ほとんどの作品を読みましたが、その中でいくつかのミステリ以外の作品も読みました。ミステリ以外のクリスティの魅力とは?と言っても、それはクリスティのミステリの魅力と同等のものです。鋭い人間観察、精神面での描写は今読んでも新鮮です。 この話はもちろん人も死なないし事件も起きない、寧ろ人の動きすらないと言っても過言ではないくらいです。動いているのは精神で、その動きだけで劇的だから読んでいて飽きないです。人は日常を離れ、見知らぬ場所へ放り出され、初めて本当の孤独を感じた時にようやく自分を見つめるのかもしれません。


サリエーリ ★★★☆☆  著:水谷彰良

story
モーツァルトに消された宮廷楽長サリエリの生涯を事実で追うノンフィクション論文。

感想

興味ない人には全く面白くないだろうけど。「アマデウス」で有名なモーツァルトとサリエリの対立。でも実際サリエリはどんな音楽家だったのだろう?ぼくはサリエリ派(?)なんですが、これを読むと、サリエリの方がモーツァルトより天才ぽい。音楽用語満載でよくわからないことも多いんだけど、面白かった。サリエリの楽曲を漁ってみようと思う・・・。
まぁ、ぼくの好きな論文は著者の妄想が暴走しているようなヤツだけど、これは真面目で大人しい論文です。しかしサリエーリ(サリエリ)とかヴィーン(ウィーン)とかミラーノ(ミラノ)とか、何語なんだか知らないけどこの表記苛つく・・・。


月ノ石 ★★☆☆☆  著:トンマーゾ・ランドルフィ 訳:中山エツコ

story
詩人ジョヴァンカルロが、山羊の蹄をしたグルーという娘に出会う。

感想

山羊の蹄・・・と言えばメフィストを思い出すし、この娘は悪魔?確かに人を惑わすようではあるし(実際ジョヴァンカルロは惑わされてる)自然の中で野性的に生きていて闇を愛している。でも悪魔という邪悪な感じはあまりしない。妖精、妖怪に近いような不思議な存在。掴み所がない感じ。
全体的に古風な文章で凄く幻想的。生々しいけれど美しい。価値観や常識を忘れてただ単に読んでいればいつの間にか引き込まれているような感覚が味わえます。


モダン東京の検死官 ★☆☆☆☆  著:川田弥一郎

story
銀座の高級カフェの女給が次々死んでいく連続殺人?事件。

感想

タイトルと装丁が気になったので読んでみた。レトロな感じが好きなんで、時代が昭和初期というのに惹かれた。
この時代のカフェて今で言うスナックとかお水系ぽい。体売ったりしてる。で、NO1とかが殺されるわけだが、やたら遺体解剖の描写が細かい。生々しいんじゃなく、細かい。しかも全部の死体について細かかったような。面白いけど。主人公の刑事の推理がちょっと妄想入ってるけど、それで解決するんだからいいか。余談ぽい通り魔事件の結末が気になるけど放って置かれてるし。でもラストは結構好きかな。
ところで、タイトルに「検死官」がついてるけど、特に主人公でもないし(一応活躍はしてるけど)・・・何故?


イエスの遺伝子 ★★☆☆☆  著:マイクル・コーディ 訳:内田昌之

story
主人公の天才遺伝子学者トムが病に冒された娘の命を救おうといろんなことをしているうちに、とんでもない可能性を発見する科学サスペンス。

感想

タイトルに惹かれて読んでみた。最初は何の話かよくわからなかったが、読み進めてゆくとだんだん面白くなる。最先端科学の中で神を冒涜しながらも患者を生かす人たちと、古代の救世主復活の奇蹟に思いを馳せ目的の為には殺人も行う人たち。どちらが人間らしいかなぁ。「奇蹟の治療法」にはちょっと納得いかない感じもあるけど。イエス・キリストの遺物発見にはときめきました。科学と宗教、永遠のテーマですな。


豆腐小僧双六道中ふりだし ★★★☆☆  著:京極夏彦

story
"妖怪"豆腐小僧がいろんな妖怪たちに出会って己の存在を試行錯誤しつつ理解してゆく面白話。

感想

図書館で発見したので京極本をもう一冊。新刊がいつ出たかとか全く知らないなぁ・・・。
妖怪、のことがよくわかって面白いです。為になります。ぼくの思うところの妖怪の理想形?がちゃんと表されてるなぁ、と嬉しい。ちょっと狸が悪者ぽいけど・・・悪者というか下卑た感じが、阿波人としては悲しいかも。因みにぼくは"小袖の手"は見たことがあります。見たというか、出た。夢でやけど。


陰摩羅鬼の瑕 ★★★☆☆  著:京極夏彦

story
「鳥の城」と呼ばれる荘厳な洋館で起こる連続殺人?事件。当たり前のように関わってゆくいつもの面子・・・。

感想

今更ぼくが薦めるまでもありませんが。
残虐性もさほどなく、綺麗で全体的に落ち着いた話でした。いつになく意外と静かでスムーズな展開だったような。エノさんがいつもより大人しかったからかな?京極堂がいつもより身軽だったからかな?関口君、いつもよりマトモだった気がする。登場人物少ないなぁ。推理小説と言うよりも思想小説という感じで。死についての価値観・・・極論です。あ、伯爵っていい響きだな〜。


天球の調べ ★★☆☆☆  著:エリザベス・レッドファーン 訳:山本やよい

story
フランス革命後のロンドンで貴族やスパイや殺人やらでとりとめのないサスペンス。

感想

まずこの時代設定が好き。混沌として身分差別があってお国要素が濃いヤツ。
サスペンスと言ってもハードボイルドな感じじゃなく、コツコツと犯人を追いつめていくような落ち着いた流れ。暗号解読なんかは結構凝ってます。政治やスパイやそういう大きい話は嫌いだけど、主筆されてるのは赤毛の娼婦を襲う連続殺人。切り裂きジャック的な好きなテーマです。まぁベタと言えばベタかな。 ラストにふと「ダニエルはどうなったのだろう?」と思いました・・・。 あと天文学者がたくさん出てくるので美しい星の話なんかも素敵です。





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